バンダアチェからロクスマウェ・メダンを経由してブラスタギへ到着した。
その翌日となる今回は移動距離こそ短いが, 少数民族文化を堪能しながらスマトラ島随一の観光地であるトバ湖を目指して移動する。
ブラスタギのシンボルであるこの塔は昨夜はよくわからなかったが, 朝見るとなかなか立派であった。独立戦争のモニュメントのようだ。
すぐ近くの果物市場を訪れてみる。
広くはないが, 地元の食材に彩られて非常に絵になる。
市場を出たところにあった町の博物館。
朝早かったので開館時間には早いようだ。
この近くの観光案内所でトバ湖への行き方を尋ねようと思っていたのだが, ここも日曜日で残念ながら休みであった。
観光案内所なのに週末が休みなのに若干の理不尽さを感じるが, 仕方ないので町のバスターミナルへ行ってみる事とする。
町の大通りに沿った中心部を抜けて, 別の市場に行く。
ここの門前がバスターミナルとなっている。
といってもターミナルというよりはバスの発着場と言った方が良いかもしれない。
停まっているバスも大型ではなく, 中型車ばかりだ。
市場とごちゃまぜになっていて, どこにどこ行きのバスがあるのか全く分からない。
市場の中はこんな感じ。果物以外が中心となっているようだ。
子供が一生懸命に店の手伝いをしていて, それを周りの子供達が眺めている。
アジアの市場や商店は家族経営が多いので, 子供が店の手伝いをしている姿をよく見かける。
奥の青い籠には生きた鶏が数えられない程いて喧騒がすごい。
アスファルト舗装もきちんとしておらず足元が汚いから歩きにくい。
結局ここからトバ湖のパラッパ行きバスは出ていないようなので一旦ホテルに戻る。
ホテルの人に今日どうするのか聞かれたのでトバ湖へ移動する事を伝えるとタクシーを薦められた。
このタクシーが600,000ルピア(約4,600円)とインドネシアの物価を考えれば非常に高い。
(それでも宿泊者には安くしているそうなのだが)
ここで手配するには凄く高いので最初は断った。
ただローカルバスで行くにはバスを何度も乗り継いでいかなければならなく難易度が高い。
それでもトライしてみようとゲストハウス前を通るローカルバスを待っていたのだが, 結局どれがそのバスなのか全く分かりそうもない。
仕方ないのでタクシーで行こうか迷っていると, よく聞けば伝統的な家屋が残る村と観光スポットの滝にも寄っていくツアータクシーだった。
時間もトータルで6時間はかかるそう。移動距離で考えれば割高と思っていたが, 拘束時間で考えればGrabと大きく変わらない。
値段は高いが, 結局これで行く事にした。
車を用意してくると言うので隣のカフェでインドネシア語の勉強をしながら, ドライバーを待つ。
30分以上待ってから10時半頃にようやく出発である。
トバ湖方面への道はよく整備されているが, インドネシアではあまり多くない教会を頻繁に目にする。
この地域に居住するバタック族はクリスチャンが中心だ。
この地域では犬を食べる文化があるらしい。
上の写真の左にレストランがあるのだが, 看板にB2と書かれている。
一方で下の写真右には看板にB1とある。
両方とも同じBBQレストランだそうだが, 犬肉と鶏肉の違いがあるのだそうだ。
どちらのBBQレストランなのか分かるように看板を出しているのだとか。
日本でも昔(戦後)は犬を食べる文化があったと教えたら驚いていた。
通行量の多いメイン通りから横にそれて, 伝統的な家屋が残る村へ入っていく。
村では子供を沢山みかけた。
入村料を支払ったが, 百数十円ぐらいと安価であった。
屋根が特徴的な伝統家屋。
南国によくある高床式である。
観光用ではなく実際に何家族かが中に住んでいる。
高床下には藁で編んだ駕籠みたいなのがある。聞くと鶏の卵を受けるところだそうだ。
外にあった竹製の物干し竿には洗濯物が一杯。
村では遊んでいる子供達が一杯いて, フレンドリーに挨拶してくる子もいるが, 恥ずかしがり屋で大きくアピールをしてこない子も多い。
でも外国人には興味津々といった感じで家の入口からこちらをじっとみつめていて可愛い。
村の中には売店もあり, スナックや飲み物を購入できる。家の壁の一部に商品が陳列されている形だ。住居も兼ねているのだろう。
インドネシアでは大きなパラボラアンテナをよく見かける。TVが大きな娯楽なのだろう。
屋根が特徴的なこの村の伝統家屋だが, 日本でも愛知県犬山市のリトルワールドというテーマパークでバタック族の家屋が展示されているそうだ。
家屋は1947年に建てられたものを移築したそうだが, 戦争直後なので太平洋戦争の様子を描いた絵が描かれていたりと大変興味深いものである。
(空の神兵と称されたパレンバンの落下傘部隊などが描かれている)
この村とは別に地球の歩き方にも掲載されている村が他にあるのだそうだが, 家屋は多く残っておらず観光客も多いと聞いた。
この村は自分以外に旅行者は一人もおらず落ち着いた雰囲気でのんびり過ごすことが出来てとても楽しめた。
小さなはしごを登って, 家の中に入っていく。
家には子供の勉強用なのかアルファベットの表も貼ってある。
二階が屋根裏となっており, 木材などを保管する倉庫として使われていた。
母親やお姉さんは食事の準備中だ。靴を脱いで家にお邪魔させて貰った。
子供はどこでも可愛い。
奥には毛布・布団がしまわれている他, 結婚式の写真や子供達の入学・卒業写真のようなものが沢山飾られていた。
こういった辺境地域に住む人達もそうしたイベントの想い出を大切にするんだなとなんとなく親近感が湧いた。
いくらかお礼を包んで家を後にする。
日本でも白川郷や五個荘など飛騨・北陸地域に似たような感じの伝統家屋も残っているが, 維持が大変という話も聞く。
ここの地域でこういった伝統家屋が無くなっていくのも似たような事情があるのではないのかと思えた。
しかしこの小さな村は子供は沢山いるし, のんびりして落ち着けるし凄く良い場所だ。
村を出ていく途中にはやはり教会があり, 小さな村なのに三, 四軒もあった。
村を離れてトバ湖を目指して南下していく。
途中から道沿いに沢山のオレンジの屋台をみかける。
下写真なんかは屋台というより木と木の間で屋根を作っただけの青空売店である。
こういう屋台が道沿いに何十店も並んでいてもんだから正直同じものばかり売って, 過当競争にならないのか心配なのだが, ここまで買い付けにやってくる業者みたいなのがいるのだろうか。
途中の工務店みたいなところで自動車の空気圧をチェック。
大丈夫だったので直ぐにそのまま出発したが, 後ろに泊ったデコバスがめちゃめちゃ気になる。
その後も途中大きめの街で市場があったり道端でよく見かける教会建築を楽しみながら進む。
さっきの村では伝統衣装は見かけなかったが, 道中民族衣装を着ている人もちょいちょい見かける事ができた。
写真を撮り逃して後々すごく後悔したが, 民族衣装のまま畑作業をしていたり教会に集っていたりする姿は本当に美しい。
ここではクリスマスを何日間か祝う文化だそうで民族衣装を着ている人が多い期間なのだとか。
山の方へ向かって走っていくと自然の景色が美しい場所へ到着した。
ここは大きな滝が臨めると同時にトバ湖を見渡せる絶景スポットで地元の観光客が数えきれない程訪れている。
地元女子も思わずインスタ映えを狙って写真撮影?
I♡SIPISO PISOのモニュメントで撮影大会である。
SIPISO PISOはここの地名でTシャツにもなっているほど地元では名の知れた観光地のようだ。
確かに圧巻の自然景色だ。トバ湖は何気に物凄く大きいので果てが見えない。
滝壺の方に降りていこうとすると, 途中で道が壊れていたりと足元に気を付けながら進まないとならない。
結局途中でスコールが始まってしまったので, 最後まで行かず撤退する事とした。
再び車でパラッパという町を目指す。道はアスファルトが壊れていたり, 謎の石が道を塞いでいたりと色々あったが, 色々なアトラクションも備わっている眺めの良いスポットで休憩したりと飽きる事なく楽しめた。
道中は車に入っていたバタック音楽のCDをかけながらでの移動であった。
そしてブラスタギを出発してから6時間程経った16時半頃やっとトバ湖畔の町パラッパに到着。
ここはトバ湖周辺を訪れる旅行者の拠点となるま町だ。
そのため, インドネシアに来てからやっと白人バックパッカーが街を歩く姿を複数人目にした。
旅行代理店に行って貰い, ここで次の町へのバスの予約を済まそうとすると, もう何日も先までバスの予約が埋まっているという。
年末年始で観光客が多いのだそうだが, まだまだスマトラ島の1/3も進んでいないので困ってしまった。
それじゃジャカルタにも辿り着けないぞと焦っていたところ,
予約が一杯なのはツーリストバスでローカルバスなら5時発の今から出るバスに乗れるかもしれないそうだ。
早速電話で空いているか確認して貰ったら, 空いているとの事であった。今日は本当ならトバ湖に浮かぶサモシール島でゆっくりしていきたかったが,
この日は道中でバタック文化を結構楽しめたので, 諦めて次の町となるブキティンギへ向かう事とした。