さて再びフェリーに乗って渡鹿野島をあとにする。
パールロードという風光明媚な事で知られる道路で移動していく。
伊勢湾を目の前に地元で採れた新鮮な海鮮丼が食べられるのだが, 新鮮過ぎて海老が跳ねて丼から外へと逃げてしまう程だ。
踊り食い状態でなかなか生々しいが味と歯ごたえは最高である。
そしてやってきたのは志摩半島にある海の博物館。
館内ではやはり船の展示が目につく。
海女や漁・木造船・海の祭りなど海に関する資料約6満点所蔵されているとのこと。
80隻を超える木造船や漁具が見どころのようだ。
建物自体も日本文化デザイン賞や日本建築学会賞に選ばれている。
東南アジアやオセアニアなど南太平洋地域の博物館でも度々みられるアウトリガーカヌー。
充実した船の展示。
そして当然ながらこの地域の世界的な名物である真珠の展示。
時間の都合でこの日訪れることはかなわなかったが, 近くにはミキモトの企業博物館が立地する。
現在著者が拠点とするUAEをはじめとして天然真珠の採取が主な産業だった中東湾岸地域にこの日本産養殖真珠が与えた影響は計りしれない。
中東湾岸地域の博物館や国のストーリーを解説する展示には必ず真珠が出てくる。
今中東の国々では単なる石油・天然ガス生産国から脱皮すべく各国が国をあげて尽力しているが, 歴史を辿れば天然真珠採取から石油・天然ガス開発へと大きな転換があった。
特に資源開発及びそれらから得られる利益のインフラ投資に出遅れた国々では生きていくための事業を失い, 砂漠の国民は大変貧しい生活を強いられたと聞く。
産業構造を大きく変えてしまった事もあり, バーレーンなどではこうした養殖真珠は持ち込み自体が禁止されてしまっている。
海女さんから深海6500まで海底探査の歴史。
深海を相手に仕事することもある著者にとっては感慨深い図だ。
地引網漁のミニチュア模型。
鯨に関する展示。鯨漁は紀伊半島と縁が深い文化だ。
NHKの朝ドラあまちゃんで一大ブームを引き起こした海女さんに関する展示。
博物館には国指定重要有形民俗文化財が6,879点あり日本屈指の所蔵。それゆえ海の正倉院という異名があるそうだ。
海の博物館をあとにしてやってきたのは三重県観光の定番であり日本神道の総本山ともいうべき伊勢神宮。
参道。
流石に観光客も土産物屋も多く活気がある。
夕方だったがギリギリ入場が間に合った。
しかし敷地内が広い広い。
閉まる時間ギリギリだったので急いで歩く。
この伊勢神宮は日本文化の象徴的位置付けから勘違いされしまいやすいが, 実は世界遺産ではない。
20年に一度の式年遷宮が歴史的建造物を保存していくというユネスコの精神にそぐわないという事だそうなのだが, この行事も200年も行われ続けていることを考えれば例外あるいは無形遺産として登録しても良さそうなものだ。
松阪まで戻り今日はここに宿泊。