現地の友達からかつてアゼルバイジャンのファベーラと呼ばれていた場所があると聞いてその場所にいってみた。
ファベーラとはブラジルはリオデジャネイロの世界的に有名なスラム街である。
近代的な建物の建ち並ぶ今のバクーの光景からは想像し難いものの, 独立前のソ連時代には石油生産量も現在からすれば少なく貧しかった。
豊かになったのはここ二十年程の話なのである。
28May駅から移動。
地上を走る鉄道のチケット売り場。
電光掲示板に発着予定が出ているのだが, もの凄い長距離路線もある。
隣国ジョージアの首都トビリシやロシアのモスクワ, さらにはウクライナのキエフ行きなんかも。
バクーの地下鉄は旧ソ連であったことを象徴するかのような深い深い地下鉄と豪華な内装の駅。
バクーのバスターミナルがある駅で降りる。
大きなバスターミナル。
ここからは国際バスも発着している。
何軒か聞いて回ったところジョージア経由でのイスタンブール行きとイランのアゼルバイジャン地方にあるタブリーズやテヘラン行きのバスが多いようだ。
値段は忘れてしまったが, 飛行機に数千円程度と非常に安価であったと思う。
また地下鉄で移動してNizami駅へ。駅名はこの国で有名な詩人の名前が由来。
どうやらここの地下鉄駅は地名よりも国の記念日や著名人を名付ける事が多いようだ。これも旧ソ連の名残りかもしれない。
ここは目指している場所の最寄りである。
駅から目指す場所へと向かっていく。
確かに奇麗な建物の多いバクーにしては道路幅が狭くて建物も古い感じである。
団地感のある居住区。
話に聞いたところ壁の向こう側にかつてのスラム街が以前あったそうなのだが, 新しい道路を敷設する際に取り壊していて住民は丘の上の高層アパートに引っ越したのだとか。
ただ, 壁のこちら側にはかつての雰囲気が少し残っているのだろうか。下町感が漂っている。
それでも古い街並みに高級車が駐車しているのがバクーの面白いところだ。
こんな車も通れないような路地が網の目状に広がっている。
曲がり角や行き止まりも多いので方向感覚をすぐに失ってしまう。
途中小窓で営業しているこんな小さな売店もあった。
どうやら子供達の遊び場に出てきてしまったようだ。
カンフーの真似事を仕掛けてきたので, こちらもそれっぽいポーズを繰り出して応戦。
FCバルセロナのユニフォームを着ている子供が多いあたりサッカーが人気のようだ。
こちらが壁の反対側のかつてスラム街が広がっていたエリア。
道路が敷かれるそうだ。
広いエリアの更に向こう側のエリアへと入っていく。
ここはもうバクーの繁華街にも程近いが, やはり古い町並みと細く曲がりくねった路地裏が残る。
そしていつの間にかモスクに出てきた。
更に南下していくと段々とバクーの繁華街エリアへと入っていく。
趣のあるレストラン。
そしてバクーで一番有名だろう昔ながらの市場へとやってきた。
名前をTaza Bazarという。
手前に日用雑貨。奥に食材関連の店があるようだ。
イスラム教圏では猫が神聖なものとみなされている事も手伝ってか, 野良猫も堂々と道端に居座っている。
この国で気になるのはやはりキャビア。
カスピ海はキャビアの産地であり, 世界三大珍味にも数えられている代物だ。
キャビアはチョウザメの卵なのだが, チョウザメが減少している事もあって漁獲制限などもかかっている。
そのためここ数十年で値段が高騰し, かつては日常的にパンなどと一緒に食されてきたキャビアも庶民が日常的に手を出せるものではなくなってきている。
ただ現地の友人曰く, 一方で法の目をかいくぐって密漁されたキャビアが市場に安く流れることもままあるそうだ。
アゼルバイジャンの旅も今回で終わりである。
コーカサスは地政学でもとりあげられることの多い地域でジョージアとアルメニアの二か国にもいずれ訪れてみたいと思う。